よぎちょぎ「マシッソヨ」

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冷麺求めてオジャンドン

ハズレのない美味しい冷麺を求めてソウルを歩きまわった。
まず、冷麺はもともと北部の郷土料理だ。
われわれに馴染みのある水冷麺(スープ付き冷麺)の正式名称は
「平壌(ピョンヤン)冷麺」というわけで、あきらかに北朝鮮の地名だ。

であるからして、本物を食べようと思ったら、まずは北朝鮮出身のヒトビトが作ったものでなくてはなるまい。

ふたつめは専門店であること。
焼肉屋あたりがメニューの一品として載せているものは今回はパスだ。

この条件を満たすべく中部市場の裏手の五壮洞(オジャンドン)という町に向かった。

朝鮮戦争で北部から逃げてきた人たちが住み着き、本格的な冷麺を食べさせる店を営んでいると聞いたからだ。

市場で乾物屋の店先にいたおねえちゃんにオススメ店を尋ねると「ああ、冷麺ね!」とうなずき、すばやく「興南家(フンナムチプ)」というのを紹介してくれた。

興南も北朝鮮の地名だから店主はあちらの出身者、もしくはその子孫にちがいない。条件の一つは軽くクリアだ。

興南家は食事の時間が過ぎているにもかかわらず結婚式の祝宴が入っているようでけっこう混み合っていた。

汁なしの辛い咸興(ハムン)冷麺を食べている人が圧倒的に多く、平壌式を注文すると一瞬「あら、そうなの?」という顔をされた。

できれば両方を試したいが平壌式に絞ることにした。
こんな時ひとり旅は不便なんだよなぁ。

やがて運ばれてきた冷麺は青みがかった独特の灰色で、器の真ん中にこんもりと丸めて置かれている。

うーん、かなり地味なビジュアルだ。

お吸い物風の茶色いスープにはコンソメスープのようなコクがあり、味に変化がほしいなら酢や辛子を溶き入れる。
大ぶりの牛肉スライスが4枚ものっていてボリュームも満点。

サッパリ系だと思っていた平壌式冷麺だが、実は濃厚な旨みとコクが持ち味のスープ麺であることがわかった。

ここに大根のムル(水)キムチの汁で酸味をそえるのが味の奥深さであるらしいl。

麺には適度なコシと弾力があり、噛むと「ムニッ」と抵抗しながらも、次の瞬間には「ザクッ」と小気味よくちぎれる。

ムニッ、ザクッ…ムニッ、ザクッ…そしてキリッと冷やされたスープをしみじみ味わう。

そうそう、マナーにうるさい韓国なのに、なぜか冷麺に限っては器に口をつけてスープをすするのだけは許されているらしい。

そのあたりの理由はわからないが、美味しいからまぁどうでもいいのだ。



住所大韓民国京畿道 ソウル