よぎちょぎ「あんなモノ、こんなモノ」

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市場でドキドキ

ソウルの面白さは自分の足で歩いてみなければわからない。
王宮と緑豊かな庭園が点在し、高層ビルとのコントラストが美しい。
近代的なビジネス街と庶民パワーあふれる町並みも
意外な形でちゃんと共存している。

車が激しく行き交う大通りから薄暗い路地に踏み込むと、そこに市場が開かれていてびっくりしたことがある。

「南大門市場」のような巨大マーケットとちがって、私のような観光客にあやしい日本語で迫る商人もいない、地元のおばちゃん達が近所の人相手に日用品を売る市場だ。

迷路のような路地の両側には、魚や肉、野菜、乾物、さまざまな種類の総菜やキムチが、プラスチックのたらいに盛られて並ぶ。
果物も大きなざるで無造作にキロ売りされている。

食べ物ばかりではない。婦人服や下着、雑貨。なぜか猫もいる。

もうもうと湯気をあげる店の前では丸椅子にかけて食事をしている人がいる。

天麩羅そっくりのティギム(揚げ物)、キムパプ(のり巻き)、マンドゥ(餃子)もその場で作られ、見るからに旨そうだ。

「おいしいよっ!」
「安いよ!」
「×▼☆*♪×◆×○*▲!(聞き取れない…トホホ)」
好奇心のままにのぞき込む私に活気にあふれたアジュンマ(おばさん)たちの声が飛ぶ。

「どっから来たの、日本?」
「へえ?、ひとり?韓国語上手いねえ。」

「チャラシネ!(上手いねえ)」と感に堪えない表情で言われると気恥ずかしい。

実は韓国人はほんの挨拶程度の韓国語でもほめてくれるのだ。

私はしかたなく答える。
「いいえまだ“遠かった”です。」

遠かった、と過去形で答えるのは何故かを考えてもしょうがない。外国語なのだから。

ほめられて気を良くしたわけでもないが餅菓子を買うことにする。

「すこし味見したいんですが…」
色とりどりの餅をあれこれ気前良く味見させてくれるので満腹になってしまった。

魚を売る店をのぞくと、人差し指の先ほどのホヤに似た“物体”がボールに盛られている。もちろん日本では見たことがない。

眺めているとアジュンマが笑いながら「ミドドク!」と言ってひとつつまみ、チューッと中身を吸ってみせた。

うわっ、生でいっちゃったよ。大丈夫なのかなあ…。

不安げな私に、アジュンマはさらにふたつほどを素早くチュッチュッとやってみせ「マシッソヨ!(おいしいよ)」と笑う。

私も笑顔でうなずきながら大あわてで店先を離れる。
その調子でこちらの口に放り込まれないとも限らないものね。

ミドドクについてはその後ホヤの仲間である「エボヤ」であるらしいことが分かった。

ヘムルタンやアグチムなど海鮮系の料理に加えると味が出て美味しいそうな。

だがホヤの韓国名は「モンゲ」でありミドドクとは別物と主張する韓国人もいて、本当のところはよくわからない。


住所大韓民国京畿道 ソウル