travel 高城統一展望台…「北」を見に行く


束草は海の幸を食べさせる海鮮レストランがいっぱいあることで有名だ。
これは水槽に泳がせてある魚を網ですくって客に見せ値段交渉をしているところ。



統一展望台から見た北朝鮮領。
はるか前方にかすんで見える岩山が金剛山だろうか。右手には「海金剛」と賞される、息をのむほどに美しい海が白い砂浜とのコントラストも鮮やかに広がっている。





■ソウルから国内線の小さな飛行機で50分。束草(ソクチョ)は38度線よりも北側の、かつては北朝鮮領だった町だ。
ここからバスに乗り換えさらに55kmほど北上する。目的地は高城(コソン)統一展望台である。

南北分断のシンボルとしては「板門店」があまりにも有名だが、「北」を見る場所は「統一展望台」の名で数カ所に設けられている。
私が行こうとする高城統一展望台は、その中でもっとも北に位置し、それだけに軍事的な緊張も強く感じられるのではないかと考えたのだ。

■朝鮮半島では日本の統治終了後、北緯38度線を境に分断されていたが、後に休戦ラインが引き直されたようで束草などいくつかの町が韓国側に移った。「金日成主席の旧別荘」などが南側に残っているのはそのためだ。

やがてバスは終点の大津(テジン)に着いた。予定ではここからさらに4ほどバスに乗って「統一安保公園」に行き、そこで「展望台出入申告書」を提出して展望台行きのシャトルバスに乗るのだ。
ところが大津はさびれた雰囲気の田舎町で、インフォメーションらしきものがない。通行人に安保公園行への道をたずねても要領を得ない。ちょっと途方に暮れてしまった。しかたなくタクシーに乗り込んだ。

■さて、ようやく「統一安保公園」に着いたが、なぜか運転手が「展望台まで乗って行け」と何度もすすめる。素直に従っておけばよかったのだが、断ってドライブインのような店に入る。そこには机が用意され、申告書らしきものを記入する人の姿があった。
いそいそと机に向かおうとすると店のオバチャンに制止され、店の奥のテーブルに座って待つようにと言われる。
オデンの匂いのただよう店内でそのまま待たされること数十分。

■やがてオバチャンは自家用車で来ている若いカップルに私を引き渡した。「いっしょに行け」というのだ。
理由はわからないが、どうやらこの日はシャトルバスが運行されていないらしかった。
車を持たない私のために、オバチャンは同乗させてくれそうなドライバーを探して交渉をしてくれたのだった。ソウルから観光に来たというカップルは快く私を後部座席に乗せてくれた。フォークギターが一本載せてあるのがほほえましい。

■「統一安保公園」から田舎道をしばらく走ると「民間人統制線」の検問所がある。ここから北へは許可なく民間人が通ることは許されていないため、武装した軍人さんに出入証を渡して通してもらうのだ。金網には先に入った民間人の出入証が吊り下げられていた。

引率の責任はドライバーにあるらしく、私は申請書の提出を求められることもなく、後ろにただ座っていれば良かった。各所に造られたトーチカには北に向かって銃を構える兵士の姿があった。
あたりは一面の地雷畑だそうだが、のどかな風景にそのような気配はみじんも感じられない。ここはミョンパ村といい、農作業をしながら暮らしている人がいるのだ。


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