travel 七夕とカササギ…恋の橋渡し


20分ほども私の周りを歩き回っていたカササギ。人を恐れもせず1mほども近くに寄ってくるところが可愛い。
カメラを向けると草むらから顔をあげてポーズをとってくれた。単純な黒白のパンダカラーではないことがわかる。ソウル近郊で。



柿の木のカササギの巣。小枝や枯葉を集めてこんもりと丸い形につくる。都会では電柱、街路樹など場所を選ばずどこにでも巣を作る。
昔はカササギの巣の位置で台風の被害を予測したらしい。このように樹上高くかけている年は安心して良いとか。

安東河回村で。





■旅館の窓の外から「カシャカシャ…」という乾いた音がして目覚めることがある。奇妙な鳴き声の正体は「カササギ」というカラスの一種で、韓国ではどこにでもいる鳥だ。
「朝、カササギを見ると懐かしい人が訪ねてくる」
「カササギの声で目覚めると良いことがある」など、縁起の良い鳥として愛されている。

カラスといっても鳩ほどの大きさで、ぽっこりと丸い姿が愛らしい。黒白のパンダカラーだが、よく見ると翼や尾に美しい金属光沢をあしらったオシャレな姿。学名が「Pica-pica」というのもうなずける。

■この鳥が長い尾をひいて飛ぶ姿がなんとも美しく、スイッと空を横切るたびにカメラを向けるのだが、なかなかうまくいかない。飛翔するというよりは、樹から樹へ、屋根から屋根へと伝い飛んでいるような感じなのだ。田舎などで見かけるカササギは農家の庭先やたんぼで何かをついばんでいることが多い。人を恐れないところはやはり都会のカラスを連想させる。

■カササギは推古天皇の時代に新羅からつがいを献上された記録があるというが、関西では繁殖しなかったらしい。今は九州の一部にだけ生息し「カチガラス」というローカルネームをもっている。

由来は「カシャカシャという鳴き声がカチカチとも聞こえるため」と言われているが、これは誤解で、お隣の国で国鳥に指定されているこの鳥の韓国名が「カチ」というからだろう。
ふつうに「カチ」、では日本語の「価値」と同じになってしまい、韓国人には通じない。むりやりカタ仮名で書けば「ッカチ」…内にこもった発音がむずかしく、ハングルの発音練習としてよく出される。

■「かささぎの渡せる橋におく霜の 白きを見れば夜ぞふけにける」

小倉百人一首にある大伴家持の句だが、この「カササギの橋」は中国の言い伝えがもとになっている。
七夕の夜、カササギたちがいっせいに天に飛び立つ。翼を連ねて天の川に橋をかけ、牽牛と織女の逢瀬を助けるためだ。 陰暦7月7日の晩は、国中のカササギが天の神様の命令で集められるために、地上に一羽も見当たらないとも言われている。

■のそのそとエサなどついばんでいたら「怠け者め、さっさと天にお行き!」と人間に追い立てられてしまうこともあったようだ。
「本当に一羽もいなくなるの?」と興味がわいたが、カササギは繁殖期以外は群になって自分のねぐらに帰るらしい。七夕の晩は巣でくつろいでいるだけかもしれない。


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