travel 韓国式ロッテリアの作法…一緒が楽しい


伝統的な庶民の酒「真露(チルロ)」。
キリッと冷やして飲むと、日本の焼酎にはない独特の人工的な甘さがあってなかなか美味しい。
韓国では700ウォン(約70円)。



「チャミスル」。若い世代では焼酎といえばコレというほどの浸透ぶり。
「真露」にくらべ甘味ひかえめで22度というマイルドさ、「約1,000度の高温で焼いた竹炭で3回濾過した」というあたりが健康指向にマッチしたのかもしれない。





■韓国の高校生が友人と連れ立って「ロッテリア」に入ったとしよう。
注文した品を持ってテーブルについた彼らが、まっ先にすることが何だかわかるだろうか?
答えは「各々のポテトを真中においたカゴ(なければ広げたナプキンの上)に盛り上げること」なんだそうな。ひとつのポテトの山を皆でつまむからこそ楽しい、とは微笑ましい。

韓国人は「食べる」ということをとても大切にする国民だ。
「シクサヘッソヨ?(食事しましたか)」は日常の挨拶言葉になっている。そんな時に「いいえ、まだなんです」なんて答えたら、相手は「そりゃ大変」とばかりに、あなたを近くの店に連れて行き食事に付き合う…とは限らない。こちらが食べるのをながめて座っていたりする。

■「自分は済ませたから」というのだが、日本人にはどうもそのあたりの行動がよく理解できない。
留学生のヨンジョン嬢に聞いたら「それはよくあること」と明快な答えが返ってきた。
「友達のひとりが、まだ食事をとっていないということがわかったら、全員で食堂に入り食べ終えるまで一緒にいるのは当たり前です」
うーん、そこまでやるか。

■私は韓国人に「一人旅は寂しくないか?」とよく聞かれる。そんな時「いいえ、ぜんぜん!」と元気に答えても怪訝な顔をされるばかりだ。
「勇気がありますねー」なんて妙なほめ方をされる。「寂しいです。とくに食事の時が寂しいです」と言うと、深くうなずき「うーん、そうだろう、そうだろう!」とおおいに納得してもらえる。運が良ければ同情した相手から「いっしょに食事しましょう」と誘ってもらえたりもする。

旅行中は仕方なくひとりで食べることの多い私だが、周囲からは「いじめ」かと同情されたり、「どんな事情やら」と詮索の目を向けられているのかもしれない。

■これは知人のM氏から聞いた話だ。
独身のM氏が会社から帰りシャワーを浴びてくつろいでいる時、知り合いの韓国人から電話がかかってきた。
「今何をしているんですか?」と聞かれて「テレビを見ながら酒を飲んでるよ」と答えたところ、驚いた声で「どうしてひとりで飲んでいるんですか!?」と問われて戸惑ったそうな。

食事もお酒も誰かと一緒に楽しむのが習慣の韓国人からは、日本人の「個食」は何とも奇妙で哀れに見えるらしい。「独り酒場で飲む酒は別れ涙の味がする…」という歌の気分は、まちがいなく彼らには通じないだろう。

■誰かが書いていた。
「…韓国では酒場は戦場に似ている。彼らは友人と競うために酒場に入る。議論で、歌で、ときには友情の篤さで勝利を得るために入る。(中略)酒は多人数で飲むためにあり、卓は歌の拍子をとって叩くためにある」
こういう光景はどこの酒場でも目にすることができる。

私が泊まる宿の裏には安い飲み屋が立ち並んでいて、深夜1時をすぎる頃になっても仕事帰りの青年やオジサンが焼酎の空瓶を囲んでは、熱く語り、喚き、歌い、と大騒ぎをしている。ひとりで杯をかたむける客はまず皆無だ。


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