| ■ travel■ | 慶州南山…君が代に出会う |
私たちがお経を捧げた磨崖釈迦如来座像。 南山の数ある仏像の中でもかなり大きなもの。 |
■やがて目的地の小さな庵にたどり着いた。断崖絶壁に大きな釈迦如来像が刻まれ、祭壇が設けられている。 凛とした表情の坊さんが20人ほどの信者とともに祭壇の前に座った。一緒に来たふたりも神妙な顔つきで加わっている。 私をふくめ一般の登山者がその様子を遠巻きにながめていると、なぜか坊さんが私だけに「横に来い」と手招きするではないか。 正直言ってお経は勘弁していただきたいものである。私は必死に辞退するが、坊さんはあきらめてはくれず自分の横の座ぶとんを示して待っている。 ■しぶしぶ座るとすぐに読経が始まった。だがこのお経、「東洋のラテン」とも評される韓国だけのことはあった。坊さんはオペラのように朗々と声を張り上げ、時に鈴や木魚を打ち鳴らし、その陽気なこと! コーラスの指揮者のように「ハイッ、ご一緒に〜!」と合図する坊さんに従って私達も「プ〜チョ〜ニム〜プル〜」と「歌う」。 立ったり座ったり、思いのままに拝むので足も痺れないのがいい。いつしか時間のたつのも忘れて無心にお経を唱えている自分に気づいた。 ■ありがたくも楽しいお経のあとは、坊さんの住まいらしい小さなオンドル部屋で食事をいただいた。例のアジュンマたちの風呂敷の中身は、ローソクや線香のほかに、果物やナムルが入った容器だった。 驚いたのはご飯を炊いた鍋をそのまま包んであったことだ。各自にスプーンが配られると、ご飯の鍋がテーブルの真中にどすんと置かれ、みんなで直接すくって食べるのだ。 たくさんの山菜料理も並べられ楽しい食事会になった。締めくくりには、大きな洗面器のような器にスンニュン(ご飯のおこげに熱湯をそそいだもの)が出され、これも皆で回し飲みだ。 ■私はすっかりくつろぎ居眠りをしてしまった。 そこへ突然、韓服をまとった上品なハルモニ(お婆さん)が現れ、その場の誰しもがかしこまった雰囲気になった。 |
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