travel 河回村…民泊の素敵な人々


洛東江が大きく蛇行している。手前の馬蹄形の部分が河回村。
一村一姓で各戸に柳(リュウ)さんが住んでいる。
彼らは豊臣秀吉の朝鮮出兵時に宰相だった柳成竜の末裔たちだ。



韓式家屋と中庭。
中央にはキムチや唐辛子味噌を入れた大きなカメがある。マンション暮らしが増えた都会では見られなくなった。



■個人タクシーの運転手チェさんが、民謡を歌いながら軽快にハンドルを切る。きれいに整備された道路を走ること30分たらずで河回村(ハフェ・マウル)に着いてしまった。

7年前、足首まで泥につかりながら、雨の中を村まで歩いたのが嘘のような快適さだ。
かつては犬のように放っておかれた旅人は「客」に昇格し、私は妙に落ち着かない気分になっていた。村人が確実に接客上手になっていることにも戸惑った。
河回村は誰しもが簡単にわかった気になれる場所ではない、と勝手な思い入れがあったせいかもしれない。

この村が急に脚光をあびるようになった理由は、日本から視察に来た政治家にあると村人から聞いた。
美しい村の風景に感動した政治家の「もっと宣伝すれば人が来るのに」という何気ない言葉がきっかけで政府が開発に乗り出したというのだ。

■土壁の民家の壁にハングルの落書きが刻まれているのを発見。
人が大勢来るようになるとこういうこともあるのだろう。犬のほうがまし、と言うつもりはない…が。どうかここに日本語の落書きが増えることだけはありませんように!

友人と一緒に「食堂」と書かれた家に入った。コの字型の韓式家屋の中庭にテーブルが並んでいるのを横目に奥の縁側に上がりこんだ。どっしりとした木の感触が気持ちよい。

ビールを注文すると、女主人リュウさんに「この村に来てそんな注文をするものじゃない。」と、トンドン酒(濁酒)とトトリムッを勧められた。

そんなに言うならと自家製らしきトンドン酒を注文し、その旨さに目を見張った。今まで飲んでいたものは一体なんだったのかと思わせる独特のコクとまろやかな酸味。トトリムッはどんぐりの粉で作ったなめらかなゼリーと生野菜を唐辛子のタレで和えた野性味のある料理だ。これにトンドン酒がめちゃくちゃ合う。

■あっという間にどんぶり2杯を飲み干してしまった。穏やかな酔いが回り、うとうとと良い気分になってその場に寝転がる。裏庭でカササギが鳴き、どこからか風に乗って祭囃子のような音色も流れてくる。ああ、最高だ…。

団体の観光客の場合、宿泊する人はまずいない。夕方には潮が引くように人が去り、残っているのは個人旅行者か学生のグループぐらいだ。子ども達が学校から帰り、村が素顔を取り戻す私の最も好きな時間だ。

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